2007年3月11日日曜日

経済人という存在

標準的な経済学では普通の人はみんな「経済人」であると考えて理論を組み立てるらしい。
この経済人というのがすごい。
『経済人というのは超合理的に行動し、他人を顧みず自らの利益を追求し、そのためには自分を完全にコントロールして短期的だけでなく長期的にも自分の不利益になるようなことは決してしない人々である。自分に有利になる機会があれば、他人を出し抜いて自分の得となる行動を躊躇なくとれる人々である』
というものだが、こういった定義は経済的モデルを考察する際に経済学者たちが普通の人々がこうなっていると考えやすいからに過ぎない。

しかしながら、もし全ての人間がもしこうだとすると、確かに市場に全てをゆだねることが一番良い。
けれどこれだと株で大もうけなんてことは決して起こらない。
なぜなら、経済人同士の取引なのだから、株価は適切な価格で必要なとき上下する。
ファンドが乱高下する中でうまく売り抜けして利益を出すなんて現象はまったく起こりえないのだ。
株で儲けるや、バブルの発生や崩壊も起こらない。
当然信じがたいほどの大量のドルが無駄に流通し続けるなんて現象も起こるはずがない。

証券会社は子供たちに金融教育の重要さを説こうとする。金融を正しく学ぶことは市場の安定のために重要だからというのかもしれないが、それって、この「経済人」になりましょう、または近づきましょうって話では無いだろうか?
経済学に強いやつが偉くて(勝ち組)経済学に弱いやつがバカ(負け組)っていうだけの話なんじゃないだろうか?
確かに私の知り合いで自殺した3人は確かに「経済人」では無かったよ。そのうちの一人は自分で「経済人」気取りをしていたけどね。
今の経済学ってそんなに偉いのだろうか?

人々の動きを、この「経済人」という定義ではなく考えようとする経済学が新たに考え出され始めている。
その入門書的存在が『行動経済学』という本だ。「人は限定合理的に行動する」という心理学や行動学の要素を入れて経済学を訂正しようという試みである。まだまだ生まれたばかりの若い学問ではあるが、発展していけば現在の経済学の矛盾を訂正できるかもしれない。
ただし、この本は僕が上に展開したような現在の経済学に悪質にカラむような内容は無い(笑)。ちゃんと全うな学問の本なので是非読んで欲しい。

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